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#27『小話 こわい話の日』より

ぴちょん…ぴちょん…
僕/お「!?」

僕達は水が滴る音のする方、つまりお風呂場の方へと目をやりました。
ぴちょん…ぴちょん…
電気の消えた薄暗い廊下。ちょうど玄関の脇にある脱衣場の向こうから、確かにその音は聞こえたのです。

僕/お「あわわわわぁ…(震)」

気付けば僕達は逃走中のE.Tよろしく、シーツを頭から被り、互いに身を寄せ合っては小刻みに震えていました。
だってそうでしょう?
お布団小僧が、我が家のお風呂にまつわる妙な怪談話をした途端に、この出来事なのですから。

僕「み、水…閉め忘れちゃったねぇ…あははは」
お「う、うっかりさんねぇ…あはははは」
僕/お「わははははは!!(焦)」

僕達は、わずか数歩先で起こっているであろう事実を打ち消す事に、必死でした。
しかし、現実は無情でした。

僕/お「!!?」

窓の外から微かに聞こえる雨音。
お風呂場からは一定間隔で水の滴る音が響いています。
部屋中に虚しく響く、僕達の乾いた笑い声。
それらの音に混じって、その声は聞こえたのです。

「うぃ〜ふ… へぇ〜はぁ…」

嗚咽を漏らす様な、息とも声ともつなかない、でも確かに何かが存在する音。

僕「…。(もう…)」
お「…。(だめ…)」

気のせいか、外の雨足が急に強くなった気がします。
風もいくぶん強まり、ベランダから見える環八の街路樹を大きく揺らしています。

お「みてきて…」
僕「!?」

そんなバカな、お布団小僧。
そもそも事のキッカケは、君の妙な怪談である可能性が高いのに、なにゆえ僕が!

僕「お、お布団小僧が行きなよ…!」
お「いや!」
僕「なんで!」
お「おばけ いや!」

…妖怪でもオバケが怖いのか?
そのへんの事情はさておき、こうして僕達がつまらない小競り合いをしてる間も—

「あっふぅ〜… ひぃへぇ〜…ほろほろほろほろ…」
お風呂場から聞こえる奇妙な声は、一段とその大きさを増し、僕達の耳を恐怖で満たし続けたのです。
このままじゃラチがあかない!そう思った僕達は—

僕「よし…2人で行こう…!」
お「お、おぉ…!」
勇気を振り絞って、お風呂場へ向かう事にしたのです。

30平米にも満たない、小さな我が家。
1Kの賃貸マンションにもかかわらず、脱衣場へ向かうその薄暗い廊下が、僕達には長く感じました。
その間にも、お風呂場からは水滴の音が、浴室内からは「はぁひぃ…ふぅへぇ…」と息を漏らした様な声が、響き続けていました。
閉じられた脱衣場のドア。その隙間からは、消したはずの白熱電球のぼんやりとした灯りがキッチンまで漏れ出し、床に落ちていたご飯粒を、まるで月の石のようにうっすらと照らしています。

お「この いっぽは ちーさいが…」
僕「人類にとって偉大な一歩である…」
お/僕「わ、わはははははは!(限界)」

何とか平静を保とうと、付け焼き刃のミニコントで、僕達がまた乾いた笑いを響かせた時でした—

「だぁ〜しゃ〜… うぃ〜ふぃ〜… ぶるるるるるる!」
お/僕「!!!!(突破)」

お風呂場から聞こえる謎の声が、それまでとは一変したのです。
そう。それはまるで馬の嘶きの様な、声でした。

予想外の音圧に思わず身を強ばらせそうになった僕達ですが、ここで動かなければ、もう一生この場に立ち尽くすしかないと思い、恐怖をバネに一気に浴室を目指したのです。

僕「行くよお布団小僧!」
お「おぉ!」

僕達は一気に脱衣場へと駆け込みました。
そして煌々と灯りがともる浴室の曇りガラス製のドアを、勢いに任せて開いたのです。

機密性の高いユニットバス。
開かれた扉に巻き込まれ、浴室内の空気がつむじ風になって溢れ出しました。
使い慣れた牛乳石鹸と石鹸シャンプーのローズマリーの香りが辺りに広がります。
1タイミングずれて、大理石プリントが施された浴室の壁面から、掛けられたナイロン製のボディータオルがつるんと床に落ちました。

そしてまっ白なナイロンタオルがフワリと着地したそのすぐ横に、それは確かにいたのです。

僕/お「!?」
メ「!?」

ボウルに張られた水に浸かり、頭に手拭いを乗っけ、下町の銭湯でよく見かけるオヤジの様な顔で悦に浸る—

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—メロンが。


つづく
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by ohutonkozou | 2014-08-28 12:39
夏です。
夏と言えば怪談なのです。
雨が降って、いささか気温も低いですが…
お散歩にも行けない僕達は、それぞれ自慢の怪談話を披露し合う遊びを始めたのです。

僕「—そして、運転手さんが後ろの席を覗くと…(真顔)」
お「…。(ゴクリ…)」
僕「そこには誰もいなかったのです…!」
お「ぉぉぉぉぉ…」

さすが五流作家。
子供とは言え、妖怪をビビらせてやりました。
さぁ次は、お布団小僧の番です—

お「あのね…」
僕「うん…」
お「ほんとはね…」
僕「うん…」
お「…だれもいないの」
僕「へ?」

お「ここの おふろには もぅ だれも いないの…」
僕「!?」
や、やめろ…お布団小僧!
何か知らないけど、むちゃくちゃ怖いじゃないか!

お「いないの…(ニヤリ)」
僕「…!!!!?(K.O)」
部屋中をつつむ底知れぬ寒さ…
こ、これはきっと雨のせいです。

…と、その時でした。

僕/お「!?」

ぴちょん… ぴちょん…
誰もいないはずの我が家のお風呂場から、水の滴る音が響いたのです。


つづく
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by ohutonkozou | 2014-08-27 15:09
お「よ〜しよし」
僕「…。」
お「いいこねぇ♡」
僕「…。(汗)」

違うよ、お布団小僧。
「大切にしなさい」と言ったけど、それは「大切に保管しなさい」って意味なんだよ。



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寝かしつけちゃダメなんだよ…。
それからもう一つ。お願いがあるんだよ、お布団小僧—



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…イタズラ書きするの、やめてね。
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by ohutonkozou | 2014-08-27 07:26
誰もいない、夜の砧公園。
大きな木の下で、僕達の会議が始まります。

お「ちがう…?」
僕「違う…」
お「おぼーさん ちがう?」
僕「お嬢さん、だよ」
お「!?」

…青天の霹靂みたいな顔をするな、お布団小僧。

僕「分かった?」
お「おぉ!」

ようやく分かってくれた様で、僕も一安心です。
では改めて。
ちゅーぅ ちゅーちゅちゅ♪

お「なつのー おしょーさんー♪」
僕「…。」

おしい、お布団小僧。(結局、意味いっしょだし…)


榊原郁恵:夏のお嬢さん
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by ohutonkozou | 2014-08-25 09:00

#24『小話 夏の日』

毎日まいにち、うだるような暑さ。
クーラーをつけても、まだどこか暑い気すらします。
そんなある、夏の夕暮れの事でした。

僕とお布団小僧は、近所にある砧公園へ散歩に行きました。
夕涼み、などと言っては見たものの…
太陽が傾いても、気温は一向に下がる気配もなく。
ただただ蒸し暑い風と、ギラギラと鋭く照りつける西日に、僕達はすっかり参ってしまったのです。

このまま散歩なんかしてたら、溶けてしまう…
そう思った僕達は急遽、予定を変更。
静かに木陰のベンチでアイスを食べる事にしたのです。
その時でした—

お「…おぼうさぁーん♪… おぼうさぁーん♪」
僕「?」

ご満悦にガリガリ君(梨味)を舐めながら、お布団小僧がふと妙な歌を口ずさみ始めたのです。
お、お坊さん…?
何でしょうこの歌は。
季節柄もあってか、一瞬は怪談話かと思いましたが、どうも違ういます。
歌詞の割には楽しげなメロディーなのです。

お「おーぼーさぁーん♪おーぼーさぁーん♪」
僕「…!?」

あぁ。どこかでヒグラシが鳴いています。
大きなケヤキの木も、ようやく涼しくなり始めた夕方の風に吹かれ、ザワザワと夜の訪れを知らせています。
しかし…。しかし、です。
お布団小僧はガリガリ君の棒を咥え、ベンチで足をバタバタさせては—

お「おーぼーさぁーん!おーぼーさぁーん!」
僕「!!(怖)」 

妙な歌詞の歌を、元気よく歌っているのです。
いよいよ少し怖くなった僕は、その歌の意味をお布団小僧に聞こうと思いました。
その時です—

お「ちゅーぅ ちゅーちゅちゅ♪」
僕「!?」
お「なつのー おぼぉーさんー♪」
僕「…。」

…違う、お布団小僧。
『お坊さん』じゃなくて『お嬢さん』だよ。

ビキニを着たら、ある意味刺激的でクラクラしちゃうけど。
I も You もSCREAMだけど。
違うよ、お布団小僧。

オレンジ色の空は、いつしか紫色に染まり始めていました。
空にはすっかり、一番星が輝いています。

お「おぼーさぁーんー♪」
僕「…。」

東京は、しばらく暑い日が続きそうです。
かしこ

榊原郁恵:夏のお嬢さん
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by ohutonkozou | 2014-08-24 09:01
お布団小僧は音楽が好きです。
事あるごとに「ふんふんふ〜ん♪」と鼻歌を歌っています。
散歩も、お風呂も、1人で遊んでいる時も。
いつも何かしらハミングをしているのです。
そんなある、夏の昼下がりの事でした。

この時間になると、お布団小僧はスタスタと台所へ向かいます。
時計を見れば午後三時。
そう、おやつの時間です。
ですが、その日に限って—

お「なんにもなぁーい」
僕「!?」

おやつの為に緑茶を淹れていた僕は、ハッとしました。
そう。すっかりお菓子の買い置きを忘れていたのです。
ダメ元で台所の戸棚をガサガサとしてみましたが、やっぱりお菓子は何処にも見当たりません。
そうだ!冷凍庫にアイスがあったはず!

僕「なんにもなぃ…」
お「…。(ニヤリ)」
昨晩のお風呂上がりに、お布団小僧がなぜコソコソしていたか、いま判明しました…。(怒)

と、とにかくです。
我が家のお菓子箱や冷凍庫には、おやつになりそうなモノが全く無かったのです。
野菜室を覗いてみました、果物のような気の利いたモノなど、あるはずもなく。
仕方ないので、僕達はスーパーへお菓子を買いに出る事にしました。

お「な〜んにもなぁ〜い♪ な〜んにもなぁ〜い♪」

お菓子を買いに出かけるとあってか、お布団小僧はすっかり上機嫌。
この状況を自作のメロディーに乗せ、得意の鼻歌を歌っています。
しかしその一方で、僕は危機的な状況に陥っていたのです—

僕「…。」
お「?」
僕「…へ、へへへ(汗)」
お「おかね ない?」
僕「な、な〜んでもないよぉ〜♪」

そう。
お財布を何度見回しても、小銭しか見当たらないのです。
その額、およそ45円。
これではアイスどころか、駄菓子すら怪しいレベルです…

僕「う、うーん…」
お「うーん…」

おやつをどうするか思案する僕達。
無情にも淹れられた緑茶は、刻一刻と渋みを増していき、ティーサーバーの中はすっかり夏の山々の様に、緑に萌えています。

僕「…。」
お「…。」

ザッと台所を見渡しても、甘味と言えるのは瓶に入った黒砂糖の塊だけ。
おやつの代わりに黒砂糖を舐める…と言うのも、切なすぎます。
いよいよ万策尽きたかと、僕が途方に暮れた時でした—

お「!?」
僕「?」

ハッとしたお布団小僧が、何かに取り憑かれた様に戸棚をガサガサとし始めたのです。
棚の観音扉を開け、シンクの配水管が丸見えになった棚の中に上半身を突っ込み、何かを探し始めたのです。

僕「そこ、さっき見たよ?」
お「!」
僕「お菓子、ないよ?」
お「!!」

必死に戸棚を探るお布団小僧。
僕はその扉からモゾモゾとのぞくお布団小僧のお尻に、ため息交じりに言いました。
しかしお布団小僧は、僕の忠告などモノともせず必死に戸棚の中を探り続けたのです。
そう。そのお尻からは、まるで確かな自信を感じられる程に、です。

お「はっかのにおい する!」
僕「ハッカ?」
お「はっかあめ!」
僕「ハッカ飴…?」

…警察犬か、お布団小僧。
でもそれはきっと、お布団小僧の勘違いでしょう。
だって僕には、ハッカ飴を買った記憶など無いのですから。
僕がそう思った時でした—

お「あった!」
僕「へ?」
お「あ、あめ…?」
僕「あぁ…」

お布団小僧が手にしてたのは、僕が以前ハーブティー用にと買ったミントでした。
ジップロックに入った乾燥ミントの移り香を、お布団小僧はハッカ飴の匂いと勘違いしたのです。
しかし、すっかり嗅覚と甘味欲を刺激されてしまった犬の様なお布団小僧は、僕が何度説明しても—

お「ちょ、ちょうだい!」
僕「…不味いよ?」
お「いいから!」
僕「…自己責任ね」

ミントの葉を食べると言ってきかないのです。

僕「どう?」
お「…。」
僕「不味いって言ったでしょ?(ニヤリ)」
お「ま、まずくな…な…」
僕「!?」
お「なぁぁぁあぁぁぁぁ!ぶべー!ぶべー!」

…ね。
だから言ったでしょ、お布団小僧。

しかしお布団小僧は、それどころでは無い様子。
口いっぱいに広がる葉っぱの苦みと、強烈なミントの刺激に「ひぃーひぃー」言っています。
そして反射的に、すっかり淹れっぱなしで秋のプールの様になっていた深緑の緑茶をゴクリと飲み込んだのです。

僕「あ…」
お「ぶべー!ぶべー!ぶべえぇぇぇぇぇ!」

…ちょっとだけダチョウ倶楽部になった気分の僕達。
思わず笑ってしまった僕を恨めしそうに見ながら、お布団小僧は—

お「しぶしぶするぅ!しぶしぶするぅ!」
—と言いながら、今度はコンロ脇に置いてあった黒砂糖の瓶に手を伸ばし、渋味を相殺しようと口の中にその塊を放り込みました。

一連の、まるでコントの様な独り芝居を繰り広げるお布団小僧。
僕はその、小刻みに震える小さい背中を、ただただ唖然と眺めるしか出来ませんでした。

僕「…。(唖然)」
お「…。(ピクピク)」

玄関の向こうからは、プールへでも行くのでしょうか、連れだって歩く子供達の笑い声が遠くに聞こえました。
あぁ、どこかでヒグラシの鳴く声が聞こえます。
夏ですねぇ。

お「…。(ピタッ)」
僕「…?」

部屋の隅々まではびこる夏の暑さと、あまりのバカバカしさに、僕の魂が思わず口から抜け出してしまいそうになった、その時でした。
それまで身悶えしてたお布団小僧の震えがピタリと止まったのです。
そしてお盆の怪談話よろしく、僕を振り返ると—

お「で・き・た…♡(ニヤリ)」
僕「!?」

—そう呟き、不敵な笑みを浮かべたのです。

僕「な、なにが…?」
お「お・や・つ…♡」

そう。
一連の騒動のなか、なんとお布団小僧はその口腔内で新しい『おやつ』を完成させたのです。

お「あーん して」
僕「あーん…(不安)」

お布団小僧に言われるがまま、半信半疑の僕は口をあんぐりと開けました。
と同時に、ミントの葉、黒砂糖、渋めのお茶が、お布団小僧によって僕の口へ投入されたのです。

不思議な食感。
一つひとつは勝手知ったる食材にも関わらず、それが三つ巴になった瞬間、人はこうも違和感を感じるのでしょうか。
しかしその一方で、ミントの爽快感と、黒砂糖の丸い甘み、そしてそれを際立たせるかのように広がる緑茶の苦みが、口の中に広がりました。

僕「!?」
お「ね?」
僕「お・い・し・い…♡」
お「で・しょ…♡」

そう。
それは例えるなら、ハッカ飴とお茶飴を同時に舐めた様な味でした。
こうして僕達は、ひょんな事から不思議なおやつを生み出す事に成功したのです。

その新しいおやつは、日を重ねるごとに進化して行きました。
そしてついに僕達は、夏に最適な甘くてスッとする『ミント緑茶(黒砂糖はお好みで♡)』を完成させたのです。
このお茶は、アイスはもちろんホットでも楽しめました。
暑い夏に、あえて熱くて甘くて清涼感に溢れるお茶をデミタスカップでチビチビやるのも、なかなかオツなものなのです。

さぁ今日もおやつの時間になりました。
でも、我が家にはお菓子もアイスもありません。
申し訳程度に果物が数個あるだけです。

でも僕達は、お布団小僧が作った妙な鼻歌を歌いながら、酸っぱい果物と自家製の甘いミント緑茶で、おやつの時間を楽しむ事が出来るのです。

お「な〜んにもなぁ〜い♪」
僕「な〜んにもなぁ〜い♪」
お/僕「な〜んでもな〜いよぉ〜♪」

なんにもない事。
それは、とても楽しい事なのかも知れません。


『お&僕』印
ミント緑茶レシピ

【材料】
1:緑茶葉…小さじ1(山盛り)
2:ミント葉…小さじ1(山盛り)
3:お湯…300cc
4:黒砂糖…デミタスカップへ小さじ2(山盛り)

【作り方】
ティーサーバーに1.2を入れ、熱湯の3を注ぐ

グルグル回して煮出す

しばし放置

その間に、デミタスカップに4を入れる

茶葉が沈んだらカップに注ぐ

カップの底に沈殿してる黒砂糖は決して混ぜない

1杯目、2杯目と徐々に甘みが落ち着くお茶を、チビチビやる

お「ぷはぁ〜」
僕「ぷはぁ〜」
お「し・あ・わ・せ♡」
僕「し・あ・わ・せ♡」

にっこり
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by ohutonkozou | 2014-08-13 20:45

#22『満月の日』

お「かえりんせぇ!かえりんせぇ!」

2週間ほど前。
お布団小僧と夜の公園を散歩していた時でした。
一休みしようと僕がベンチに座り缶ジュースを開けた時、砂場にいたお布団小僧が夜空に向かい、そう叫んだのです。

僕「?」

見ると、お布団小僧は何度も「帰りなさい」と叫んでは、空に向かって何かを投げていたのです。

お「かえりんせぇ!はぁはぁ…かえ…りんせぇ!」
僕「どした?」
お「はぁはぁ…お…おちてきた」

肩で息をするお布団小僧の手には、小さな白いビー玉がありました。
お布団小僧は、この白いビー玉を何度も空に投げては拾い、再び投げては夜空に向かって叫んでいたのです。

お「つき」
僕「月!?」
お「そらにつき、ない!おっこちた!」

その夜は、新月でした。
空に月が無い事に気付いたお布団小僧は、たまたま砂場で見つけた白いビー玉を、空から落ちてきた満月だと思っていたのです。
そしてそれを何度も空に投げては「かえりんせぇ!かえりんせぇ!」と、空へ帰そうと叫んでいたのです。

お「かえりたくない?」
お布団小僧は手のひらで転がるビー玉に、少し困ったように聞きました。

お「うさぎ。まってるよ?」
手のひらの満月は、ただ静かに夜の街灯を白く反射させています。

お「おもち。おいしーよ!」
お布団小僧は何とか空へ帰そうとその気を惹こうとしますが、手のひらの満月はただ楽しそうにコロコロと、その小さな手の中を転がるばかりです。

僕「かしてごらん」

すっかり困った様子のお布団小僧。
僕はお布団小僧から、ビー玉を受け取りました。

僕「帰すよ?いい?」
お「おぉ!」

そして出来るだけ高く、遠く、そのビー玉を力の限りに投げました。

僕「帰りんせぇ!」
お「かえりんせぇ!」

真っ黒な環八沿いの夜空に、街灯で反射してキラキラ光ったビー玉がすーっと飲み込まれて消えて行きました。

お「かえった?」
僕「帰ったよ」
お「こりでよし!」
僕「良し!」

お布団小僧は、夜空を見上げて満足そうに微笑んでいます。
僕もなんだかおかしな気分で、思わず笑ってしまいました。

あれから2週間。
今夜は今年最大の満月(スーパームーン)です。
台風一過の夏の空。まだ少し雲で霞んでいるかも知れませんが、今夜はぜひ空を見上げてください。
雲の向こうにある月。
それは、お布団小僧が空に帰した満月なのですから。

追伸:今夜はこんな気分です。
篠笛奏者こと『月のことば』
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by ohutonkozou | 2014-08-10 23:43
お「すぐ しゃんはいに とんでくれたまえ!」
僕「…。」

最近、お布団小僧のブームは『どこか大人っぽい言葉』を使う事らしいのです。
きっと大人に憧れているのではなく、その雰囲気に憧れているのでしょう。
主なネタ集めの場は、動画配信のドラマや映画です。
社会派ドラマ、現代劇にSF、時には時代劇なんかからも引用したりして楽しんでいる様子です。
しかし。しかしなのです—

お「しおどきね…」
僕「へ?」
お「もぉ わたしたち しおどきなのよ…」

ネタ元が恋愛ドラマの場合、話は別です。

お「もっと はやくであいたかったわ…」
僕「…(汗)」

そもそもお布団小僧は、本当にその言葉の意味を分かって使っているのでしょうか?

僕「潮時って、意味分かってる?」
お「…うみにいくってこと?」

…。
あぁ、やっぱり。
お布団小僧は、雰囲気だけを楽しんでいたのです。
しかしこれ、よくよく考えてみれば、決して好ましい事では無い気がしてきました。
だってそうでしょう?
お布団小僧にとってはお遊びのつもりでも、時に言葉はあらぬ誤解を招く事があるのですから。(潮時なんて言われたら、ちょっと寂しいぞ…)
なので僕は、お布団小僧にキチンと意味を教えてあげる事にしたのです。

お「え…?(不安)」
僕「だから、潮時ってのは、もうバイバイって事なんだよ?」
お「いや…(不安)」
僕「でしょ?」
お「いやぁぁぁ…(泣)」

自分で言っておいて涙ぐむなよ…。
ま、まぁ。なにはともあれ。
僕は大人として、お布団小僧にキチンと正しい意味を伝えて良かったと思います。

お「いやぁあぁああ!!(大泣)」
僕「だ、大丈夫だから(焦)」
お「ばいばい いやぁああぁあぁ!!!(雷泣)」

バカだなぁ、僕達がバイバイなんてするわけないだろお布団小僧。

お「わたしだけを みてて!」
僕「へ!?」
お「でなきゃ よそに いっちゃうよ!」
僕「…。」

東京ラブストーリーの台詞は、意味ちゃんと分かってるんだなお布団小僧よ…。

追伸:#20の続きを書こうと思ったのですが、まぁ小話になりました…ごめんなさい( ꒪⌓꒪)
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by ohutonkozou | 2014-08-10 23:26

妖怪達と暮らす 五流作家の 日々のこと


by ohutonkozou